2023年11月、令和4年度の小・中・高等学校(国公立/私立)不登校児童生徒数が約36万人(過去最多)と発表がありました。
近年急増している「不登校」の数ですが、この「不登校」とは、具体的にどういう状態を指すのでしょう?
自分は、わが子は「不登校」なのでしょうか?
これまで100件以上の不登校家庭の相談に乗ってきた不登校専門社会福祉士が、わかりやすく解説します
1.文部科学省の定義
文部科学省では、下記のように不登校を定義しています。
文部科学省の調査では、「不登校児童生徒」とは 「何らかの 心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、 登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間 30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を 除いたもの」と定義しています。
文部科学省より
つまり、年に30日以上欠席している児童(病気・経済的理由を除く)が「不登校」と定義されています。
2.「不登校」の定義外なら安心?
「うちの子はまだ年間30日以内の欠席だから不登校ではない、安心♪」とはならないですよね。
不登校の定義外でも、
- 学校までの見送りが必要(母子(父子)登校)
- 毎朝腹痛など体調不良を訴える
- 最近、遅刻欠席が増えてきた
などは、お子さんのヘルプサイン。
そのままなんとなく通常登校に戻っていく子は少なく、悪化していく場合が多いので、なるべく早めに相談機関へ相談されることをお勧めします。
ですが、たとえばスクールカウンセラーや学校の先生はリスクを取れません。
「様子を見ましょう」「休んでエネルギーチャージしましょう」と言われることがほとんどなのが実情です。
しかし本当にエネルギー不足なのか?待てば回復するのか?は、子どもによって異なります。
一例ですが、「お母さんが何もかもやってあげてしまったり、子どもの失敗を取り除きすぎた。結果、子どもの自信を奪ってしまい(子どもができると信じてあげられていない)、子供が失敗を恐れるようになり、学校や友達が怖くなった。それが不登校の始まり」というケースは正直本当に多いです。
これはお母さんを攻めているわけではありません。お母さんの行動は、わが子を思っての愛情でした。
ただ愛情の正しい方向性を間違ってしまっていただけ、知らなかっただけです。
お子さんに働きかけていくべきなのか、親御さんが正しい方向性に立ち戻るべきなのか、第3者の目線をぜひ加えてみてください。
どの機関に相談に行けばいいか見当がつかない!という方は、当ブログのお問い合わせ/無料相談のフォームからお気軽にご相談くださいね(^^)
※今この瞬間お悩みの方の現状を把握したいという思いからの、無料相談です。無料の先に有料がある…ということもありませんので、ご安心ください!(笑)
3.不登校生の内訳
文部科学省の定義する「不登校生」の詳しい内訳も見ていきましょう。
令和4年度の国立、公立、私立の小・中学校の不登校児童生徒数が約29万9千人(過去最多)、うち学校内外で相談を受けていない児童生徒数が約11万4千人(過去最多)、うち90日以上欠席している児童生徒数が約5万9千人(過去最多)と高水準で推移しており生徒指導上の喫緊の課題となっています。更に国立、公立、私立の高等学校においても不登校生徒数が約6万人、うち学校内外で相談を受けていない生徒数が約2万5千人、うち90日以上欠席している児童生徒数が約4千人となっております。
文部科学省より
- 小・中学校の不登校数:約29万9千人(過去最多)
- そのうち、学校内外で相談を受けていない:約11万4千人(過去最多)
- そのうち、90日以上欠席している:約5万9千人(過去最多)
小・中学校の不登校生数は過去最多、さらに相談をまだできていない生徒が約3分の1もいることがわかりました。
また、不登校定義の最低30日欠席という条件の3倍、年間90日(約3か月)以上欠席しているのも約6万人という驚くべき数字です。
高校生についても下記の通り。
- 高等学校の不登校数:約6万人
- そのうち、学校内外で相談を受けていない:約2万5千人
- そのうち、90日以上欠席している:約4千人
4.不登校の原因
不登校になる原因の多くは何だと思いますか?
いじめ、先生との関係…を浮かべる人は多いと思います。
ですが、不登校原因の上位は意外にも、
- 親子関係
- 生活リズムの乱れ・あそび・非行
- いじめ以外の友人関係の問題
- 学業の不振
という結果が出ています。
不登校の原因について、詳しくは▼記事でまとめていますので、併せてご覧ください。
5.まとめ
- 文部科学省が定める不登校の定義とは、「年間30日以上の欠席がある生徒」でした。
- 不登校の定義に当てはまる前段階の子どもも、前兆がある場合は要注意。早い段階で第3者への相談が好ましいです。
- 不登校生の内訳では、相談前の子が約3分の1とかなり多いことがわかりました。
- 不登校の主な原因は、親子関係・(いじめ以外の)友人関係・無気力が上位に。いじめの割合はとても低いことがわかりました。
急増している不登校。他人事ではなく、今身近に起きている社会問題です。
小さな家庭内で解決しようとせず、周囲のサポートを仰ぎましょう。