まず結論から言うと、【中学3年間不登校でも、高校へ進学することは可能】です。
日本の高校は、大きく3種類に分かれます。
- 全日制高校(公立/私立)
- 定時制高校(公立/私立)
- 通信制高校
今回は、①全日制高校(公立/私立)について深堀していきます!
- 全日制高校生の日常とは?
- 受験資格(年齢制限)
- 受験形式
- 不登校枠とは?
- 公立と私立の学費比較
- 卒業・留年条件(単位数/欠席日数など)
1.全日制高校生の日常とは?
全日制高校では、平日昼間6時間程度の授業を週5日(土日祝・夏休みや年末年始除く)受けます。
この「毎日通学」が不登校生活が長い生徒さんにとって大きな壁となる場合もありますが、友達と毎日顔を合わせて話をしたり、部活や行事に参加する楽しみもあります。
具体的にどのような毎日を送ることになるのでしょうか?
モデルスケジュールをご紹介します。
- 6:30 起床、身支度、朝食
- 7:30 登校
- 8:00 学校到着
- 8:30 ホームルーム
- 8:45 1~4限目(50分授業)
- 12:35 昼休み
- 13:35 5~6限目
- 15:15 ホームルーム
- 15:25 下校(部活、アルバイト、塾など)
家~学校の距離で登校が億劫になるケースは非常に多いため、できるだけ家から通いやすい/近い学校を選ぶのがおすすめです。
昼食は給食が出るところはほとんどなく、お弁当を持参したり、購買で買ったり、食堂で食べたりすることになるでしょう。
アルバイトはOKの学校と禁止している学校がそれぞれあるので、受験候補の学校の校則を事前に確かめておくのがGOOD.
興味のある部活についても事前に情報を集めておくと、入学後スムーズに選べます。
2.受験資格(年齢制限)
高校に入ることができる条件として、
- 入学年度の4月1日時点で満15歳以上
- 中学校もしくはこれに準ずる学校(特別支援学校の中学部)、義務教育学校の後期課程、中等教育学校の前期課程のいずれかを修了する者
を満たす必要があります。
逆に中学卒業後、
- 一度高校へ入ったが、中退した
- 一度高校を卒業したが、別の高校へ入学したい
といった場合も入学は可能です(法的に高校に在籍する年齢制限は設けられていない)。
ただし学校によって年齢制限を設けている場合があるため、事前確認は必須です。
3.受験形式
全日制高校の日常を把握したところで、ではどのようにしたら全日制高校に入学できるのでしょうか?
公立と私立で異なるので、それぞれ見ていきましょう。
全日制【公立】高校 | 全日制【私立】高校 | |
---|---|---|
試験科目 | 国数英理社の5科目 | 国数英の3科目 |
出題傾向 | 中学3年間で学んだ内容をどれだけ理解しているか、基礎的な学力を試す内容が出題される。 | 学校によって出題傾向に特色があるため、それに合わせた勉強が必要。科目は少ないが、教科書のレベルを超えた難しい問題が出ることも。 |
重視ポイント | 出席率や内申点を重視 | 学科試験を重視 |
不登校生への対応 | ・不登校枠(※1) ・自己申告書の提出(※2) | オープン型入試(※3) |
(※1)不登校枠とは?
まず公立高校へ不登校生が出願した場合「欠席日数の多い生徒は審議の対象とする」とされていますが、以下の場合、審議通過できるケースがあります。
- 長期欠席の理由がケガや病気だった
- 1~2年生は不登校だったけど3年生からはほとんど登校できている
- フリースクールに通っていた
- 保健室登校はしていた
ですので、欠席数が多くても一概に「公立高校には進めない」ということはありません。
しかし上記の審議通過内容には当てはまらなかった生徒のため、不登校枠を設け、
- 内申点や出席状況は見ず、当日の試験結果のみ(または面接をプラス)で合否を決める
- 中3から出席できている場合、中3の内申点・出席状況のみ加味される
などの配慮がされるようになりました。
ただし枠といっても他の受験生とは別に人員が設定されるわけではないので、内申点がない分、当日の学力試験で通常の合格点より高く得点する必要があります。
そのため不登校生の公立高校選びは、
- 自分の実際の偏差値より低めの学校
- 倍率が低い学校
- 定員割れしている学校
- 調査書(内申点や出席日数など)より学力試験を重視している学校
を選ぶことで、合格しやすくなるでしょう。
まずは、受験したい都道府県の制度や不登校枠について教育委員会のホームページなどで事前に確認してみましょう!
(※2)自己申告書の提出
「自己申告書」では、欠席日数が多かった(年間30日以上)理由を高校に説明できます。原則的にどの都道府県にもある制度なので、詳細は教育委員会のホームページを見たり、学校の先生に確認してみましょう。
少しでも合格率を上げるために、不登校生が公立全日制高校へ出願する際は、「自己申告書」も一緒に提出しておくのがおすすめです。
(※3)オープン型入試とは?
私立高校の入試において、調査書の提出不要、または欠席日数や内申点は見ず、学科試験の結果のみで合否判断する形式です。
私立高校は校風や大切にしている基準など様々なので、入試も当日の試験を重視している学校を選ぶことが合格への1歩になるでしょう。
公立と私立の学費比較
公立と私立の決定的な違いは「学費」です。
- 公立高校3年間の学費平均は140万円程度
- 私立高校3年間の学費平均は290万円程度
もちろん私立高校によって学費はかなり異なるためあくまで上記は平均ですが、公立高校の2倍ということがわかりました。
また上記金額には入学金なども含まれているので、毎年同じ金額の出費というわけではありません。
- 初年度:100万円
- 2年次:50万円
- 3年次:50万円
上記(一例)のように特に初年度の出費は高くなります。
そこで、国は高等学校等就学支援金の制度を設け、所得制限はあるものの最大396,000円の給付が受けられるようになりました。
※参考:私立高校の授業料:平均48万円
令和6年度(2024年度)から、私立高等学校等授業料軽減助成金の所得制限撤廃が決定されました。
令和5年度までは世帯年収約910万円未満の世帯が助成の対象とされていたため、世帯年収910万円以上の場合、助成金は減額されていました。
しかし今回の改正で、申請により所得に関わらず私立高校の授業料負担を軽減することができるように!
- 国の就学支援金
- 東京都の授業料軽減助成金
上記2点はそれぞれ申請が必要ですが、①②合わせて48万4,000円が助成されます。
※受給条件は、「生徒と保護者が都内に住所を有している」ことです。
→詳しくは、公益財団法人東京都私学財団HPをご覧ください。
現在は東京都が先だって動いていますが、おそらく今後ほかの道府県も所得制限なしの私立高校無償化の動きは続いていくと思われます。
このおかげで公立高校との学費の差はさらに縮まり、金銭面を理由に公立か私立かを選択する必要はなくなっていくでしょう。
卒業・留年条件(単位数/欠席日数など)
最後に、全日制高校の卒業/留年についてです。
全日制高校では、
- 3年以上在籍
- 定められた単位(74単位以上)を修得
上記を満たすことで卒業できます。
文部科学省より、高校卒業に必要な単位数は74単位以上とされ、さらに学校によってそれ以上の必要単位を設けている場合もあります。
単位の取得は、主に【授業への出席】と【定期考査】で判定されます。
高校は義務教育ではないため、小中学校とは異なり欠席や欠課が多い(通常、欠席日数が総授業日数の3分の1を超えると)と卒業できません。
つまり、おおよそ年間60日休むと、留年の可能性が出てきます(高校によって厳密な日数は異なる)。
また、学年制の場合、学年で定められた単位をすべて取得できなければ留年になります。
留年が決まると、もう1年間、同じ学年をやり直すことになります。
まとめ
以上、全日制高校についてでした。
不登校生の場合、明確に全日制を目指す理由がないと、なかなか厳しい道のりかもしれません。
また入学が決まった後も、毎日の登校、単位の取得、行事への参加など最低限求められるハードルがあることも事実です。
全日制のメリットとしては行事や部活を通して多くの友人に出会い、仲を深め一生の友達を作ることができたり、この時この瞬間にしか味わえないたくさんの体験・思い出を得られます。いわゆる、充実した高校生活です。
もちろん、このキラキラした高校生活の中でも勉強や友人関係など悩むことは必ずやってきます。しかしそういった壁を乗り越えることもその後の人生を豊かにしてくれる糧になるでしょう。
一方で定時制高校は授業時間が短く、昼間や夜間などの時間帯も選べます。
通信制高校は入試の難易度は低く、入学後も毎日の登校は求められず行事の参加も任意であることがほとんどなので、生徒に求められる要素は全日制や定時制に比べて少なく、負担も軽いといえます。
また費用はかかりますが留学という手段もあります。
中学3年間不登校でも留学をし、帰国子女枠を使って早慶MARCHなどの難関大学へ進学する例は少なくありません。
進路選びは悩ましくもありますが、本人や家庭内で行き詰まったときは外部へ相談に行かれ第3者の目線も取り入れてみるのをお勧めします。
ご相談先は、学校の先生、スクールカウンセラー、家庭教師、不登校支援団体などがあります。
ご相談先に迷われる場合には、ぜひお気軽に当ブログのお問い合わせよりご連絡ください。一人一人にあわせた機関をピックアップしご紹介いたします(完全無料、忖度なしです)。
それでは!親子が心からの笑顔で過ごすための行動を起こそう!花辺でした。