日本の高校は、大きく3種類に分かれます。
- 全日制高校(公立/私立)
- 定時制高校(公立/私立)
- 通信制高校
今回は、③通信制高校について深堀していきます!
- 通信制の授業スタイルは?
- 通信制高校生の日常とは?
- 受験資格(年齢制限)
- 受験形式
- 通信制高校の学費
- 卒業・留年条件(単位数/欠席日数など)
- 通信制高校の進路
- 通信制高校のメリット・デメリットまとめ
通信制の授業スタイルは?
全日制高校・定時制高校が「毎日登校」必須であるという点と大きく異なるのが、通信制高校です。
通信制高校では週に何回登校するかを自分で選択できたり、学校によっては年に数回の登校でOKの場合も。
(逆に週5日登校のコースを設けている通信制高校もあります。)
登校回数が限られている中で高校卒業資格を得られるので、「毎日登校」が通学のネックになっている生徒さんに多く選ばれる選択肢です。
では通信制高校ではどのように単位を取得していくのでしょうか?
→主に以下が単位取得の評価になります。
- レポート:最近はeラーニングで穴埋め問題が多い傾向。
- スクーリング(登校):通常月2回程度登校し、先生に質問をしたり体育や美術の実技を受けたりする。
- テスト:年末に1度「単位認定試験」が行われる。通常レポートなど取り組んでいれば解ける程度に難易度は低くなっている
最短3年間で卒業、学校の規定内であれば10年かけて卒業しても大丈夫です。
通信制高校生の日常とは?
通信制高校では、登校日以外は基本的に自宅学習となります。
通信制高校を選ぶ人の背景は様々で、
- 不登校だった
- ほかの高校を中退した
- 持病があり毎日決まった時間に通学ができない
- 集団生活が苦手
- 仕事と学業を両立したい(しなければならない)
- プロスポーツ選手になるためのトレーニングが日中にある
- 芸術家や芸能活動などの専門分野に注力したい
- 短期留学を終えて、日本での高卒資格を取得するため
などなど。
各事情に合わせて毎日のスケジュールもそれぞれですが、一例をあげてみます。
<アルバイトと両立しているAさん>
- 7:30 起床、朝食、身支度
- 9:15 オンラインでのホームルームに参加
- 9:30 オンライン授業開始
- 12:15 昼休憩
- 14:00 仕事/アルバイトへ出勤
- 18:00 帰宅、夕食、風呂など
- 20:00 自由時間
- 22:30 就寝
午後すぐに出勤できることで収入もアップさせつつ、学業と両立することで高卒資格取得も目指すことができます。
<プロボクサーを目指しているBくん>
- 7:30 起床、朝食、身支度
- 9:00 トレーニング
- 12:00 昼休憩
- 13:00 トレーニング
- 18:00 帰宅、夕食、風呂など
- 20:00 録画授業を見てレポート課題に取り組む
- 23:00 就寝
日中の時間帯はすべてトレーニングに費やし、夜に録画授業を受けてレポート提出することで単位を取得。10代の今しかできない・やりたいことに注力しつつ、学業とも両立しています。
<起立性調節障害の持病を持つCさん>毎日通学コース
- 7:00 起床、朝食、身支度
- 8:00 出発
- 9:00 登校
- 9:15 ホームルームに参加
- 9:30 授業
- 12:15 昼休憩
- 13:15 授業
- 14:30 下校
- 15:30 帰宅、自由時間
- 18:00 夕食、風呂など
- 20:00 自由時間
- 22:30 就寝
症状によっては登校せず、自宅でオンライン授業を受けるなど柔軟に対処しています。登校できなくてもオンライン授業を受けることで欠席扱いにならず、単位取得も後れを取らずに済みます。
受験資格(年齢制限)
高校に入ることができる条件として、
- 入学年度の4月1日時点で満15歳以上
- 中学校もしくはこれに準ずる学校(特別支援学校の中学部)、義務教育学校の後期課程、中等教育学校の前期課程のいずれかを修了する者
を満たす必要があります。
逆に中学卒業後、
- 一度高校へ入ったが、中退した
- 一度高校を卒業したが、別の高校へ入学したい
といった場合も法律上は入学可能です(法的に高校に在籍する年齢制限/高卒者の高校入学不可の規定は設けられていない)。
ただし学校によって「年齢制限」や「2重の高卒資格は不可」等の規定を設けている場合があるため、事前確認は必須です。
また転入学や編入学の場合、その前の高校で修得した単位がそのまま認められ移行できるのも通信制高校の大きなメリットと言えます。
受験形式
通信制高校の8割以上では入試で学科試験は行われず、書類・作文・面接で合否判断されることとなります。
入試に学科試験がないため基本的に通信制高校には偏差値がありません。ですので通信制高校の選び方は、偏差値ではなく学校の特色やコース(登校頻度など)が自分に合っているかが重要と言えます。
残り2割の学科試験を行うケースでも、主に国数英の3教科で中学で習う内容なので難易度はそこまで高くなく、面接や作文を重視する場合がほとんどです。
通信制高校は教育の機会を与える場として、希望者には広く門戸が開かれているということですね!
とはいえ、面接などの場で
- マナー違反
- ルーズな服装、清潔感のなさ
- 遅刻
- 意欲が見られない
などの逸した行為や見た目では不合格となり得ますので、正装で敬語・時間に余裕を持って行動する・入学~卒業後までの目標を明確にするなどの常識の範囲内で意欲的に受験することが大切です。
通信制高校の学費
まず全日制・定時制・通信制の年間授業料で比較してみます。
授業料 | 全日制高校 | 定時制高校 | 通信制高校 |
公立 | 12万円/年 | 3万円/年 | 1万円/年 |
私立 | 40万円/年 | 35万円/年 | 18万円/年 |
公立の授業料は国が定めているため一定ですが、私立になると学校によってかなり幅が出てきます。
そして上記はあくまで授業料のみなので、他に
- 入学金
- 施設費
- 修学旅行などの課外活動費
などが随時発生します。
通信制の公立と私立の卒業までの学費総計はおおよそ下記の通り。
- 通信制【公立】高校:総計10万円
- 通信制【私立】高校:総計80万円
ただし、通信制の場合自宅学習が主になるため「通信制サポート校」を利用する生徒さんは多く、その学費が年間50~100万円と言われています。
通信制高校と合わせてサポート校も利用するとなると、全日制・定時制よりも割高になるケースも。
上記はあくまで平均額のお話ですので、各学校ごとに必要経費など調べてみてくださいね。
卒業・留年条件(単位数/欠席日数など)
通信制高校の卒業条件としては、
- 必要な単位(74単位以上)を取得
- 3年間以上在籍すること
とされています。
留年については、通信制の場合ほとんどが単位制なので「留年」という概念がありません。
ですが、卒業に必要な単位数(74単位以上~学校によって規定あり)を取得しないと結果卒業できず、在学年数が伸びてしまいます。
稀ですが通信制でも学年制をとっている場合は、その学年で定められた単位を取得できないと学年が上がらず留年ということになります。
通信制高校卒業後の進路
文部科学省「学校基本調査」のデータを読み解くと、
- 進学(大学や専門学校など):約45%
- 就職:約14%
- その他:約40%
という結果に。
半数弱が「その他」という点が気になりますが、通信制高校にはプロスポーツ関係・芸術関係・芸能関係といった進学も就職も目指していない生徒が多いということも一つ理由として挙げられるでしょう。
もちろん、通信制高校を卒業したものの、その先の進路に悩んだり行き詰ったりなども含まれています。
高校卒業資格を得ることを目標にするのではなく、卒業後どのような進路に進んでいきたいかまで考えて高校選びをすることをおすすめします。
途中で希望の進路が変わることはもちろんOK!
自分の足で、自分の稼ぎで生きていく力を高校で学び蓄えていくことが大切です。
【通信制高校】メリット・デメリットまとめ
通信制高校についていかがでしたか?
最後にメリット・デメリットでまとめです。
通信制高校のメリット
- 学費が圧倒的に安い(3年間公立で10万円~)
- 登校は月2回が主流。学校によっては年に数回の登校でOKの場合も。
- 転入学や編入学の場合、その前の高校で修得した単位がそのまま認められ移行できる
- 最短3年間で卒業できるので、全日制高校生と同時期に卒業可能。
- 登校日以外の自宅学習では、学習の時間帯や授業時間は個人ごとに設定できる
- 基本的に自宅学習となるので、集団行動は最小限に済む
- 入試では学科試験を設けない学校が多く、面接や作文で逸脱した行為や言動・身なりがなければ落とされることは稀。
- アルバイトやスポーツトレーニング、芸能活動など自身の進みたい道と勉学を同時並行できる
通信制高校のデメリット
- スクーリングで少なくとも年に数回は登校しなければならない(登校ゼロは不可)
- 同級生や先生とのかかわりが少ない
- 多くが単位制で自宅学習が主になるため、自己管理がとても重要
- 通信制サポート校も並行して利用する場合も多いが、その分学費も増える
- 自分の希望の卒業後進路をある程度見定めてそのための行動をしておかないと、卒業後の過ごし方に困ることも。
全日制や定時制高校との大きな違いは、「毎日登校」が不要という点です。
通信制高校は入試の難易度は低く、入学後も毎日の登校は求められず行事の参加も任意であることがほとんどなので、生徒に求められる要素は全日制に比べて少なく負担も軽いといえます。
また費用はかかりますが全日制・定時制・通信制高校以外の選択肢として、高校留学という手段もあります。
中学3年間不登校でも高校留学をし、帰国子女枠を使って早慶MARCHなどの難関大学へ進学する例は少なくありません。
帰国子女入試では面接と小論文(+TOEFLやIELTSなどの結果持ち込み)で入学できる場合も多く、学科試験のために日本の塾に通う必要がないことも。
進路選びは悩ましくもありますが、本人や家庭内で行き詰まったときは外部へ相談に行かれ第3者の目線も取り入れてみるのをお勧めします。
ご相談先は、学校の先生、スクールカウンセラー、家庭教師、不登校支援団体などがあります。
ご相談先に迷われる場合には、ぜひお気軽に当ブログのお問い合わせよりご連絡ください。一人一人にあわせた機関をピックアップしご紹介いたします(完全無料、忖度なしです)。
それでは!親子が心からの笑顔で過ごすための行動を起こそう!花辺でした。