こんにちは(^^)/
不登校生専門の留学会社勤務の経験から、不登校留学について発信しています。
2023年11月、令和4年度の小・中・高等学校(国公立/私立)不登校児童生徒数が約36万人(過去最多)と発表がありました。
近年急増している不登校生の数ですが、それに伴い「不登校からの留学」が注目を浴びています。
「日本で不登校なのに、海外で登校できるの?!」
と目を疑いたくなる一方、海外留学という新しい世界で自分を取り戻し、人生をリスタートしてほしいという親の本音も聞こえてきそうです。
とはいえ、「行けば何とかなる!」「本人は乗り気じゃないけど行かせてみよう」という地に足のつかないスタートを切ると、留学途中帰国・留学失敗という負の感情にさらに追い打ちをかけてしまう危険があります。
本記事で不登校留学のメリット・デメリットしっかりと理解し、理想と現実のギャップをなくしていきましょう。
不登校留学のメリット
1.環境・親子関係のリセット
留学はこれまでの問題やストレスから離れ、新しい環境で心機一転、様々なことをリセットする機会/きっかけになります。
不登校という負い目の気持ちを捨てることで、これまで消極的だった事柄も挑戦する意欲が湧いてきます。
新しい環境でのリセットには、親子関係も含まれます。
これまでの経験上、留学を検討されるご家庭はある程度裕福で、子どもにもとても手をかけて育ててきています。
それは親の愛情から生まれるもので、子どももその愛は十分受け取りながらここまで来たことでしょう。
しかし、子どもは成長するもので、いつまでも親の手の中でピヨピヨ言っていることはありません。
「そろそろ一人で飛んでみたい・・」
そう思い始めるのが、中学・高校生の年代です。
にもかかわらず、指示(~しなさい、やめなさい)や提案(~したら?)、価値観の押し付け(~の方がいいよ、~にすべき)をいつまでも続けていると、いわゆる過保護・過干渉家庭になっていきます。
不登校になる子どもの家庭の9割は「過保護・過干渉家庭」であるといっても過言ではありません。
勘違いしてほしくないのは、これは親御さんを責めているわけでも、これまでの教育が間違っていたといっているわけではありません。
ただ、手を放していくべき時期に親子がしがみついてしまっているのを、放していきましょうということです。
そこで留学に行くことで親子の物理的な距離を取ることができ、親も子も自分を見つめなおし、その程よい距離感によって親子関係も多くの場合改善します。
ですのでどうか、留学中の親子のやり取りは最小限にしてあげて下さい。
何か問題や悩みあれば、親子でやり取りせず、一度親子それぞれがエージェントに相談するようにしてみてください。
間に第3者(かつ、エージェントは留学のプロです)が入ってくれることで、客観的かつ効率的に問題解決に至ります。
2.自立心・自己肯定感が育まれる
「海外で家族と離れて暮らし、毎日学校へ通う」ことは、日本で不登校だった自分と比較すると大きな自信につながります。
同じ年代の中学高校生の多くは実家から学校へ通い、お母さんの作る食べなれたご飯を食べます。
一方で、いつでもすぐ助けてくれる親が近くにいない留学では必然的に自分での問題解決能力を育み、どうにか自分で生活を安定させて毎日を健康に過ごすという自立につながり、そんな自立した自分に自信も付きます。
3.異文化体験
日本の自分の地域・実家で暮らしていると、知らず知らずにそこの常識・価値観に自分が縛られていきます。
それは決して悪いことではなく、幼少期はそのような一律の枠組みの中で過ごすことが「帰る場所」として安心を生みます。
しかし、中学高校生くらいになると、「本当にこれであっているのか?」「自分はこう思うが違うのか?」という疑問や葛藤が生まれてきます。
そのような時期に言語も文化も常識も価値観も異なる海外で生活を送ることで、これまで囲われてきた枠を破り、広い視野で物事を見て考えることができるようになります。
これは旅行のような一時的な形では得られない経験となります。
(私も10か国以上の旅行歴とオーストラリア留学の経験がありますが、やはり旅行と留学は全く別物でした。)
4.言語スキルの向上
留学のメリットと聞いて1番に思い浮かぶのは、この言語スキルの向上ではないでしょうか?
言わずもがな、留学に行くと行かないでは言語能力の向上に差は大きいといえます。
ただしこれは留学期間と個人の過ごし方でかなり異なります。
留学期間は言語力を飛躍的に伸ばすことだけを考えれば、3年以上は必要です。
そして3年以上暮らしていても普段海外言語を使うのは買い物くらい、祖霊以外は日本人と日本語だけで会話しているような毎日だと言語力に関してあまり期待はできません。
とはいえ、留学の最初から意気込んで「日本人のいない学校でないとダメ」「日本人とは一切つるまない」と決め込むのは危険です。
言語力の向上は、もう少し留学に慣れてきてからでも遅くはありません。
最初からあまり自分を追い込んだり、高すぎる目標設定はしないことが留学成功の秘訣です。
5.教育の多様性
日本と異なる教育システムに触れることで、新たな学びのスタイルや教育方法を経験できます。
日本の公立校の教育は、戦時中軍隊で従順な人材を育成することを目標に作り上げられたとも言われているように、学校や先生の指示で与えられたものをこなすことが中心にできています。
そのため、自分で何か創り出す、表現する、個性を出す、という部分に苦手意識を持つ日本人はとても多いのではないでしょうか?
留学では国や学校によって、日本より勉強(知識)の難易度が易しいことは珍しくありません。
日本の高校で習う数学はとても高度だとも言われています。
しかし知識を学ぶ部分は易しくても、ディスカッションなどで発言する内容のレベルが高かったりもします。
そんな異文化・異価値観の中で吸収力の高い中学高校時代を過ごすことで、日本の教育システムでは得られなかったスキルをどんどん習得することができます。
それが将来会社に入社したり、自分で事業を起こしたり(起業)した際に他と差別化できる自分の強みになるでしょう。
6.高校卒業後の進路の選択肢が広がる
留学が無事終了すると高校卒業資格が得られ(各種条件有)、日本の大学に進むことも、海外の大学に進むことも(場合によっては就職も)選択肢に入ってきます。
日本の大学では、留学で得られた高卒資格と英語力、その他の評価で帰国子女入試ができます。
多くの難関大学が帰国子女入試を取り入れており、学科試験のような知識テストが免除されることがほとんどのため、「日本での勉強はしていないけど、その分留学で様々なことを経験し乗り越えてきた」という人はとても優遇される制度です。
「不登校のまま日本でなんとか高卒資格を得て学科試験」というルートでは難関大学は夢のまた夢だったけど、それが留学に行っていたことでその難関大学へ面接と小論文のみで合格できた!という例は非常に多いです。
不登校留学のデメリット
1.エージェント次第の部分が大きい
親が中学高校留学に関して精通していて(最新情報も得ている)、現地言語力がある、といった場合以外はエージェントを頼ることになりますが、そのエージェント選びが留学成功のカギを握っているといっても過言ではないでしょう。
不登校生が留学するとなった場合、留学エージェントを利用せずに留学を成功させるのはかなり難しいと思っておいてください(もちろん不登校歴や年齢、現地言語力などによるので一概には言えません)。
不登校生の留学実績が多いエージェントであれば、
- 低い成績、低い出席率でも留学先の学校へ交渉を行い入学許可をもらってきてくれる
- 不登校生が陥りやすい危険を先回りして防ぐ助言やサポートを行ってくれる
- 現地でのトラブル(事件や事故、学校やホームステイ先とのもめ事など)が起きたら現地ですぐに動いてくれるスタッフがいる
といった部分の恩恵は受けられるはずです。
その他にもエージェントごとに強み(現地サポートの手厚さ、現地アクティビティを実施している、帰国子女入試のサポートが得意など)があります。
こうしたサポート内容やオプションサービスなどによってエージェントの出す留学費用は同じ国・学校でも異なってきます。
費用も納得のいく、信頼できるエージェント探しが必要です。
2.文化的・言語的な障壁
言葉や文化の違いによって、ストレスや孤独感を感じることがあります。
日本とは何もかもが異なる留学の地で再スタートを切ることは、様々なことをリセットし新たな気持ちで挑戦できる意欲が湧く一方で、あまりに気負いすぎるとストレスにつながります。
とはいえ、何事も常にストレス0で過ごせることはありません。
なのでできるだけ留学に対するストレスを軽減する方法を考えることが重要です。
例えば、
- 留学の最終決断は必ず子ども本人がする。親が勧めたり決めてしまうと、それが渡航後の逃げ道になる(親のせいにしてしまうため)。
- 学力や言語力が遅れているのは当たり前、まずは現地生活に慣れることと毎日学校へ通うことのみを目標にする
- 「留学しているのに日本語を使うのはダサい」という思いを捨てる(日本語で相談できる友人やスタッフが現地にいれば、どんどん頼ってみる)。言語力向上は、学校や生活に慣れてからでOK!
といったように、決断は子ども自身がすることと、目標を高く掲げないことがポイント。
留学では、ストレスと上手く付き合う力を身につけることをまず意識してみましょう(^^)/
3.経済的負担
留学は一般的に高額な費用がかかるため、家族にとって大きな経済的負担となることがあります。
この費用面に関しては家庭の経済力/価値観次第にはなりますが、ここを無理してまで予算以上にすることはしないようにしてください。
日本では実家から通えば学費の高い私立高校でも高くて年間授業料150万円くらいですが、留学ではその倍以上(年間300万円以上※)はかかると思っていいです。
※この留学費用には学費の他に、サポート代・滞在費なども含まれます。
そしてエージェントによって費用に幅があるのも事実ですが、安ければ安いほどいい!とは言えないのが、留学エージェント選び。
安いのには必ず理由があり、主に、
- 日本にオフィスがない(現地オフィスのみ)
- 手続きのみのサポート
- 現地では緊急時のみサポート
- 留学先、学校が限定的
などです。
一方でぼったくりエージェントにも注意が必要です。高ければその分のサポートがしっかり受けられるのかを見極めなければなりません。
4.アカデミックギャップ
現地のカリキュラムが日本のものと異なるため、帰国後に学業のギャップが生じることがあります。
教育スタイルの違いもそうですし、歴史や国語についても日本の内容は学ばないため、日本人なら知っているであろう知識を知らないまま大学や社会に出たときに「これだから帰国子女は~」と言われることは0とは言えません(^^;
ですが、人からの評価は気にしなくて大丈夫。
大学なら何を専攻していてどんな知識が必要なのか、会社ならどんな知識やスキルが求められているのか、それさえ足りていれば他が足りなかったとしても問題ありません。
とは言っても、資格試験や入学試験でどうしても必要な日本独自の知識があるのであれば、そこは後からでも頑張って勉強するしかありません。
留学中に培った、困難を乗り越える精神力と突破力をここで発揮していきましょう。
5.精神的負担
異国での生活のストレス、さらに不登校で学校に通っていなかった・昼夜逆転生活をしていたなどの場合はそこの改善も求められるため、精神的に大きな負担となり得ます。
特に留学開始後の3か月くらいは、漠然とした不安を抱えたりホームシックになりやすい時期なので注意が必要です。
渡航後に不安に駆られて「帰国したい」と言い出すことはかなりの頻度で発生しますが、そこで親が簡単に折れないようにすることが非常に重要です。
その場では帰国して留学先での不安は取り除かれるかもしれませんが、ちょっと落ち着いたころに「また失敗した」「やっぱり自分には何もできない」とマイナスな考えが巡りはじめ、自己肯定感も下がり、留学前の状態よりさらに悪化するケースがよくあるのです。
※もちろん状況によって帰国せざるを得ないこともあります。現地にいるエージェントスタッフと連携は常に取っておきましょう。
一つコツを紹介すると、留学前から様々なことをマイナスに想定しておくメモをつけておくことです。
これは単なるマイナス思考になりなさい、ということではありません!
例えば…
- 思っているより現地の言葉がわからない!
- ホームステイ先が思っていた感じと違う!
- 計画通りにいかない!
- ホームシックになって帰国したい気持ちでいっぱい!
- なかなか生活が安定しない、現地の生活に慣れない!
- 友達がなかなかできない!
留学にはたくさんの壁が出現してきます。逃げ出したくなる気持ちもとてもわかりますが、一歩引いてみたときに、やはりあの時折れずに留学継続してよかったと思えるように自分をコントロールできるように対策しておきましょう。
まとめ
不登校生の留学は、新しい環境で再スタートを切り、自己肯定感を高める良い機会となりますが、言語や文化の壁、経済的負担、学業のギャップなどの課題も伴います。
成功するためには、十分な準備とサポートが必要です。
留学を検討する際は、これらの点をよく考慮し、家族や専門家としっかりと相談することが重要です。
不登校からの留学に適したエージェントを選び、安心して充実した留学生活を送ることができるよう、私もできる限りお手伝いいたします。
親子の本当の笑顔を、一緒に取り戻しましょう。
それでは!