日本の高校は、大きく3種類に分かれます。
- 全日制高校(公立/私立)
- 定時制高校(公立/私立)
- 通信制高校
今回は、②定時制高校(公立/私立)について深堀していきます!
- 定時制高校にどんな人が通う?
- 学年制と単位制の違い
- 定時制の授業時間は?
- 定時制高校生の日常とは?
- 定時制高校に行事/部活動はある?
- 受験資格(年齢制限)
- 受験形式
- 定時制高校の合格率
- 公立と私立の学費比較
- 卒業・留年条件(単位数/欠席日数など)
- 定時制高校卒業後の進路
- 定時制高校のメリット・デメリットまとめ
1.定時制高校は、どんな人が通う?
定時制高校は戦後の貧しかったころ、全日制高校に通う時間が確保できない(働かなければならない)子どもの教育の受け皿として始まりました。
ですので現在も定時制高校には、
- 不登校だった
- 働きながら通う必要がある
- 定年退職後
など、様々な事情を持つ人・年齢層の人が通っています。
とはいえ蓋を開けてみると、8割は10代の新中卒者で、入学目的は仕事との両立よりも高卒資格取得のためが多いというデータが出ています。
また定時制高校に通いながら職に就いているのは全生徒の50%で、半数以上が無職/学生という結果も出ています。
当初の「働きながら通うための学校」というよりは、それ以外の事情で定時制を選ぶ人が増えてきているようです。
2.学年制と単位制の違い
定時制高校は大きく学年制と単位制に分かれます。
- 学年制:学校が時間割を決め、その通り履修していく。自身で予定を立てる必要がない。
- 単位制:自身で単位取得の時間割を組み、履修していく。
学年制であれば学校から示された通りの時間割に沿って出席・テストをクリアして単位を積み重ねていきます。
決まったクラスで毎授業受けるので、自分で計画立てるのが苦手・クラスメイトがその都度変わるのはストレスという人は学年制が安心かもしれません。
単位制であれば自分でいつどの授業を受けていくか決められるので自由度は高くなり人気です。
自分で自由に単位取得計画を立てていきたい(自己管理が必須)、授業ごとにクラスが変わるので人づきあいがほどほどの距離を保てるという点が自分自身に合っているかを見極めるといいでしょう。
3.定時制の授業時間は?
定時制高校の授業時間帯は3種類。
全日制高校と同じく、時間は短いものの原則「毎日登校」です。
- 夜間定時制:17、18時ごろから始まる。夜がメイン。
- 昼間二部制:9~12時、13~15時までなど。朝~昼がメイン。
- 三部制:9~13時、13~17時、17~21時など3つに分かれる。
1日4時間程度の授業を4年間受けることで、卒業することができます。
1日の授業時間が短い分、卒業までの必要年数が全日制高校に比べて1年多くなる(4年間)のが特徴です。
4.定時制高校生の日常とは?
実は、定時制高校でも給食があります。
これは法律で定められており、給食を通じで勉強に集中しやすくなる、先生や友人とのコミュニケーションの一助になるなどのメリットが挙げられます。
例えば夜間定時制高校の場合、以下のようなスケジュールを平日毎日こなします。
- 午前中~夕方 仕事や通院などそれぞれの事情で過ごし方は異なる
- 17:00 登校
- 17:10 給食
- 18:00 1~4限目(45分授業)
- 21:15 下校
5.定時制高校の行事/部活動は?
定時制高校でも行事があります。
学校にはよりますが、
- 生徒会活動
- 部活動
- 修学旅行
- 遠足
- 学園祭
- 球技大会
などが開催/活動されています。
これらの行事や活動を通してクラスメイトや仲間とのつながりを持てたり、いわゆる高校生としての充実を得られるきっかけにもなります☆
6.受験資格(年齢制限)
高校に入ることができる条件として、
- 入学年度の4月1日時点で満15歳以上
- 中学校もしくはこれに準ずる学校(特別支援学校の中学部)、義務教育学校の後期課程、中等教育学校の前期課程のいずれかを修了する者
を満たす必要があります。
逆に中学卒業後、
- 一度高校へ入ったが、中退した
- 一度高校を卒業したが、別の高校へ入学したい
といった場合も法律上は入学可能です(法的に高校に在籍する年齢制限/高卒者の高校入学不可の規定は設けられていない)。
ただし学校によって「年齢制限」や「2重の高卒資格は不可」等の規定を設けている場合があるため、事前確認は必須です。
7.受験形式
定時制高校の入試では、
- 学科試験
- 面接や作文
- 調査書
が考慮されます。
学科試験では、「国語・数学・英語」の3教科による入試がほとんどです。
学校によって理科・社会が追加されることもあります。
この学科試験にプラスして、面接や作文が行われます。
また願書提出時に調査書(内申点・欠席数など)も同封するため、考慮の対象となります。
とはいえ、定時制高校は教育を受けたい人のための門戸が開かれているので、人気校を避ければ学科試験や内申点によって落とされることは稀です(次項参照)。
8.定時制高校の合格率
令和5年度東京都立高等学校入学者選抜合格状況(定時制)を参考に東京都の定時制高校合格状況を見てみると、
学年制の定時制高校は合格率100%、つまり不合格者は出ていませんでした。
一方で、単位制の場合は合格率70%で、不合格者が出ています。
これは詳しく見てみると募集定員に対して応募者がオーバーしている学校(倍率が1.0以上)で不合格者が出ているのみで、定員割れの学校では全員が合格していました。
単位制で人気の学校は落ちる可能性がありますが、学年制や単位制でも倍率の低い学校を選べばあまりに逸脱した何かがない限り、合格できるというデータでした。
※あくまで東京都の令和五年度のデータです。
9.公立と私立の学費比較
まず全日制高校に比べると、定時制高校の方が学費は安い傾向です。
授業料 | 全日制高校 | 定時制高校 | 通信制高校 |
公立 | 12万円/年 | 3万円/年 | 1万円/年 |
私立 | 40万円/年 | 35万円/年 | 18万円/年 |
- 全日制【公立】高校:年間授業料11万8800円/入学金5650円
- 定時制【公立】高校:年間授業料3万2400円/入学金2100円
この他、諸費用や施設費用、給食費などもあるので忘れずにおきましょう。
そして全国の定時制高校は、公立が262校、私立が13校とほとんどが公立です。
そんな希少な定時制【私立】高校の授業料はざっくり年間15~50万円ほどになるかと思います。
授業料以外のこの他の費用も公立に比べて割高になるので、定時制【私立】高校の学費は定時制【公立】高校の約10倍程度と考えていいでしょう。
それが3年制か4年制かで学費の総額はさらに幅広く異なります。
令和6年度(2024年度)から、私立高等学校等授業料軽減助成金の所得制限撤廃が決定されました。
令和5年度までは世帯年収約910万円未満の世帯が助成の対象とされていたため、世帯年収910万円以上の場合、助成金は減額されていました。
しかし今回の改正で、申請により所得に関わらず私立高校の授業料負担を軽減することができるように!
- 国の就学支援金
- 東京都の授業料軽減助成金
上記2点はそれぞれ申請が必要ですが、①②合わせて48万4,000円が助成されます。
※受給条件は、「生徒と保護者が都内に住所を有している」ことです。
→詳しくは、公益財団法人東京都私学財団HPをご覧ください。
10.卒業・留年条件(単位数/欠席日数など)
定時制高校の卒業条件として、
- 必要な単位を取得
- 3年間以上在籍すること
とされています。
定時制高校の多くは4時限制なので、単位をすべて取得するには4年間かかるのが一般的とされています。
しかし近年は3年間で卒業できるシステムを取り入れている学校も増えてきました。
留年については、学年制の定時制高校では、学年ごとに定められた単位が取得できない(欠席が多い・テストの結果が不振など)と、留年になります。
単位制の場合はそもそも「学年」がないので留年もありませんが、卒業に必要な単位数(74単位以上~学校によって規定あり)を取得しないと結果卒業できず、在学年数が伸びてしまいます。
11.定時制高校卒業後の進路
東京都教育委員会が出している令和2年3月卒業者データを読み解くと、都内定時制高校卒業生のうち、38%が就職、 18%が大学等に進学、28%が専門学校に進学、15%が「それ以外」となっています。
大学と専門学校の進学を合わせると、就職の38%を超えて46%と約半数が進学という結果に。
ただし定時制高校は当初勤労学生のために始まった学校制度ということもあり、進学することにフォーカスされていません。
進学を目指す場合、定時制高校で習う内容だけでは足りないため塾に通うなど進学の準備を学校と並行して行う必要が出てくるでしょう。
【定時制高校】メリットとデメリットまとめ
定時制高校について理解は深まりましたでしょうか?
最後にまとめです!
定時制高校のメリット
- 授業時間が1日4時間程度のため、他の活動(仕事・スポーツ・育児・介護・休息など)と両立しやすい
- 登校時間が昼間や夜間など全日制とは異なるため、
- 通勤ラッシュを避けられる
- 自分の体調に合わせられる
- 全日制に通う人と会いたくない場合避けやすい
- 給食や行事、部活動などもあるため、友人との高校生活を味わえる。
- 人気校を選ばなければ、高い確率で合格できる
- 同じような背景や事情を持つ同級生に出会いやすい
定時制高校のデメリット
- 通常卒業まで4年間かかるため、他の同級生より1年遅れる
- 毎日登校する必要があるため、不登校歴がある場合など壁になりやすい面もある
- 進学を目指す場合、塾などに通う必要が出てきやすい
- 中退率が全日制・通信制に比べて高い
全日制高校との大きな違いは、1日の授業時間と卒業必要年数。
一方で通信制高校は入試の難易度は低く、入学後も毎日の登校は求められず行事の参加も任意であることがほとんどなので、生徒に求められる要素は全日制に比べて少なく負担も軽いといえます。
また費用はかかりますが留学という手段もあります。
中学3年間不登校でも留学をし、帰国子女枠を使って早慶MARCHなどの難関大学へ進学する例は少なくありません。
帰国子女入試では面接と小論文(+TOEFLやIELTSなどの結果持ち込み)で入学できる場合も多く、学科試験のために日本の塾に通う必要がないことも。
進路選びは悩ましくもありますが、本人や家庭内で行き詰まったときは外部へ相談に行かれ第3者の目線も取り入れてみるのをお勧めします。
ご相談先は、学校の先生、スクールカウンセラー、家庭教師、不登校支援団体などがあります。
ご相談先に迷われる場合には、ぜひお気軽に当ブログのお問い合わせよりご連絡ください。一人一人にあわせた機関をピックアップしご紹介いたします(完全無料、忖度なしです)。
それでは!親子が心からの笑顔で過ごすための行動を起こそう!花辺でした。