2024年現在、不登校生の増加とともに見聞きすることが増えた「フリースクール」。
自由なイメージはあるものの、
- 具体的にどんな施設なのか?
- 費用はどれくらいかかるのか?
- フリースクールを卒業するとどんな進路が考えられるのか?
フリースクールについて考え始めるときの初期知識をマルっとまとめました。
フリースクールの定義
フリースクールは公的な機関ではなく、NPO法人・任意団体・個人経営・親の共同運営など民間の教育機関です。
全国に400か所以上あり、主に不登校の小学生・中学生・高校生が通うことのできる学校以外の居場所のことを指します。
従来の日本の学校の枠組みから離れ、子どもたちが自由な環境で自分のペースで学ぶことができる教育施設です。
施設によって、月1日や週1日など少ない日数からはじめ、徐々に通学回数を増やすことも可能です。
最近では、文部科学省もフリースクールの存在を認め、一定の支援を行う動きがあります。
一部に、シュタイナー教育やモンテッソーリ教育、デモクラティックスクールなど不登校生の受け皿として始まったものではなく独自の教育方針を掲げる教育施設として発足したところもあります(日本の法律上、学校としての条件を満たせずフリースクールとして存在している/義務教育期間の在籍は公立校に置く)。
フリースクールのタイプ
一口にフリースクールと言っても、様々なタイプが存在します。
また複数のタイプが混在しているスクールもあります。
おおまかに、7つ挙げてみます。
①安心できる居場所
まずフリースクールとして求められるのが、学校以外の居場所としての存在です。
学習や進路のことは一度おいて、子どもの気力や自信の回復を目指すためにスタッフは寄り添ったサポートを中心に、本人のやりたいこと・興味のあることを一緒におこなったりします。
②学習サポートを中心としたフリースクール
ある程度気力があり、学習意欲も持っている場合には、学習を中心に過ごすスクールがおすすめです。
子ども学力やペースに合わせて無理のない範囲で学習を進め、年齢によっては高校卒業資格や進学・受験の準備をしたりもします。
習熟度や目標によっては、フリースクールと併用して家庭教師や塾も利用する場合もあります。
③学校への復帰を目標とした支援
学校への復帰を目標とする場合に、授業について行けるように学習支援が行われるスクールです。
復帰後とのギャップを減らすため、学校と同様の時間割が組まれているのが特徴です。
進路相談も行っています。
④医療機関や専門家と連携
病気や疾患を抱え、医療的なケアを必要としているケースでは、専門知識を持った医療者や支援者のサポートを受けることが大切です。
発達障害の特性が関連して登校が難しくなった場合などでは、その分野の専門家のいるスクールで適切な対応を取ってもらうことが本人の安心にもつながるでしょう。
⑤自宅でサポートが受けられる
スタッフが家庭を直接訪問し、子どもと一緒に時間を過ごすタイプのフリースクールもあります。
子どもを無理に外に連れ出すのではなく、子どもの意思や希望を尊重した過ごし方をする中で、徐々に社会との交わりを図っていきます。
近年ではオンラインのフリースクールも増加しています。
⑥独自の教育方針を取り入れている
特定のメソッドをもとに教育を行うところも一定の人気があります。
山や川、海など自然教育の中で自立を育むスクールを始め、芸術やスポーツ、プログラミングといった特化した技能を伸ばす環境を整えているスクールもあります。
⑦共同生活をする
寮などで親と離れ施設のスタッフやほかの子どもたちと共同生活をしながら、社会性や自立心を育みます。
引きこもりや昼夜逆転など、社会から断絶したり生活習慣が大きく乱れてしまった子ども向けと言えるでしょう。
これまで親の価値観・習慣・指示や提案の中で過ごしていたところから抜け出すことで、自分自身を顧みたり、他者と過ごすスキルや自分で生きる自信を獲得できます。
ケースによっては子の自立だけではなく、親の自立(子への依存からの脱却)も必要です。
また親の目が届かない環境のため、しっかりと施設の環境やスタッフの質などを見極めることが重要です。
対象年齢は?入学条件は?
多くのフリースクールが小学生・中学生・高校生が対象で、原則、入学に必要な条件や資格はありません。
施設によっては、20歳前後の大人も受け入れているところもあります。
ただ個別に条件が設定されている場合もあるため、施設選びの際はしっかりチェックしましょう。
授業は?どんなことする?
フリースクールでは小学生~高校生の年齢の違う子どもが学年や根鈴関係なく一緒に活動します。
学習活動・教育相談・体験活動など施設によって非常に幅広い内容・形式が展開されており、教室だけでなく、自然の中や地域社会を学びの場とすることがあります。
例えば…
- 個別の学習支援
- 集団授業(少人数)による学習支援
- 社会体験(職場体験など)
- 自然体験(農業体験など)
- 調理体験
- 芸術活動(音楽、美術など)
- スポーツ
- 家庭への訪問
- 宿泊体験
一斉授業が少なく、個別指導や少人数制のクラスが一般的です。
テストや成績による評価ではなく、生徒の成長や取り組み方を重視します。
フリースクール1日の流れ
フリースクールではどのような1日を過ごすことになるのでしょうか?
フリースクールは施設によって、また通う個人の状況によっても過ごし方は多種多様です。
さらに登校時間が自由だったり過ごす内容がその日その日で異なることもあり、なかなか一概には言えないのですが…
フリースクールの1日として下記ご紹介します♪
<パターン①>
- 09:00 登校(厳守ではなく、来れる時間でOKとしているところが多い)
- 09:15 個別学習(休憩は各自自由)
- 12:00 昼食(お弁当持参や、外へ買いに行く)
- 13:30 外部グラウンドでスポーツ、室内で読書や絵を描くなど各自の好きを伸ばす
- 15:30 1日の振り返り(日記に記したり、スタッフと話して共有したり)
- 16:30 終了、帰宅
<パターン②>
- 10:30 登校、スタッフとおしゃべり
- 11:00 調理体験(昼食づくり)
- 12:00 みんなで昼食、片付け
- 13:15 パソコンで調べ学習
- 15:00 終了
学校かフリースクールか、どちらか一方を選ばなければならないということはなく、週2日は学校、残りの3日はフリースクールといった二刀流!をしているケースも少なくありません。
フリースクールの費用
文部科学省の調査などを参考にすると、フリースクールの月額費用の平均額は33,000円となっています。
月額費用のほかに、入会金も発生します(平均5万円程度)
※フリースクールで行われている活動の内容によって、月額の価格の差(月1~5万円の幅)が生まれます。
通常の公立校に通っている場合にはかからない費用なので、家庭として無理がないかは確認しておきましょう。
フリースクールの卒業資格・進路
2017年に「教育機会確保法」が施行されたことにより、学校以外の場でも子どもが教育を受けられるよう支援を充実させるべきであると法律に明記されました。
小学校・中学校時期にフリースクールに通う場合
公立の小中学校(=義務教育の範囲)は、原則として出席日数に関係なく進級・卒業できます。
最終的には在籍校の校長先生の判断になりますが、フリースクールに通うことで学校での出席扱いになるケースも多くなりました。
【出席扱い制度】誕生!
令和元年、文部科学省は不登校生徒に対する多様な教育機会の確保の一環として、ICT(インターネットやコンピューター)を活用した在宅学習で、要件を満たす場合に出席扱いにすると通知をしました。
学校側と協力する体制は必須項目となっており、ICTでの学習環境を整え(そういったサービスを受ける)、先生方と情報・状況を常に共有して進めます。
私立の小中学校に通っていながら不登校が長引いた場合は、退学や留年につながりやすいため、近所の公立校へ転校(籍を移す)することで、進級・卒業は可能です。
※ただし、出席日数が少ないことは、中学受験や高校受験に悪影響を及ぼすことがあります。
高校時期にフリースクールに通う場合
義務教育機関の小~中学校では基本的に条件なく進級・卒業できますが、高校からは異なります。
小学校・中学校ではフリースクールで過ごし、高校からは卒業資格取得もできる通信制高校・定時制高校などを選ぶケースは少なくありません。
※フリースクールに通い高校を卒業しなかった場合でも、高卒認定試験に合格することで大学受験資格を得る方法があります。
進路
フリースクール卒業後の進路はさまざまで、
- 転校や編入して違う学校に通う
- 大学・専門学校などへの進学
- 就職
- 留学
などが挙げられます。
フリースクールのデメリットと課題
フリースクールのデメリットもしっかり頭に置いておきましょう。
フリースクールのデメリット
- 費用がかかる
- 高卒資格/大学受験資格は取得できない(高卒認定試験に合格すればOK)
- 高校や大学などへ進学・受験する場合は、家庭教師などと併用し学力を高めていく必要がある
フリースクールの課題
- 認知度と理解の不足:一般の人々や教育機関からの認知度が低く、理解を得るのが難しいことがある。
- 資金面の課題:公的な支援が少ないため、運営資金の確保が課題。多くのフリースクールが私立であり、運営費用を保護者の負担に頼ったり、寄付や会費、自治体からの補助金などに依存してる。
- 学習成果の評価:従来の学校教育とは異なるため、進学や就職の際にどのように評価されるかが不明確な場合がある。
- 質のばらつき:フリースクールの質にはばらつきがあり、適切な指導や支援が提供されていない場合も。認定や評価の基準が明確でないため、保護者が選ぶ際に不安を感じることもある。
まとめ
フリースクールは子どもたちが自由で自主的な学びを実現するための教育機関です。
これまでの日本の学校教育とは異なり、個々のペースや興味に合わせた柔軟な教育を提供することが特徴です。
その一方で、社会的な認知度や資金面の課題も抱えています。
不登校のその先の選択肢を検討する際は、これらの点をよく考慮し、家族や専門家としっかりと相談することが重要です。
「もう右も左も何もわからない!調べるのも疲れた!」という場合は、私が最初のご相談窓口となりお話を伺います。
下記フォームより、お気軽にお問い合わせくださいね。
親子の本当の笑顔を、一緒に取り戻しましょう。
それでは!